更新日: 2022.02.17
公開日:2021.12.28
離婚後にすぐ再婚はできるの?再婚して幸せになるためのポイント
長い人生の途上には、いくつかの節目があります。色んな事情が合って離婚をしたものの、離婚後すぐに再婚を考える方も少なくありません。
女性が離婚後すぐに再婚に踏み切る場合には、知っておいた方が良いことがいくつかあります。
具体的には、再婚生活を送る上での心持ちやパートナーに対する姿勢などといったメンタル的なことから、離婚後いつから結婚できるのかが定められた再婚禁止期間や、子どもがいる場合はその戸籍に関する法的な知識や公的な手続きです。
この記事では、特に女性が離婚後に再婚するにあたって注意しておくべきことを説明していきます。
~ この記事の監修 ~
わたしのみらい法律事務所
弁護士 渡邊 未来子
弁護士登録後に保育士資格を取得。養育費保証制度の相談会やセミナー、子ども食堂支援等を通じて、ひとり親家庭の支援活動を行っている。
1. 離婚後に再婚して幸せになる人の共通点
離婚後に再婚をする場合、誰もが「次こそは幸せな家庭を築きたい」と思うはず。
再婚して幸せな家庭を築くことができる人には5つの共通点がありました。離婚後により幸せな再婚生活を送るためには、次のポイントを意識すると良いかもしれません。
1-1. 過去の離婚経験を次に活かそうとしている
離婚後に再婚し、幸せな家庭を築く人は、
- 前回離婚に至った理由や原因
- 離婚に至った原因はどうして発生してしまったのか
- 相手に対して、自分はどのようなことを嫌だと感じたか
- 逆に相手から不満を言われたことはあるか、またその内容
などを分析し、それらを再婚生活で繰り返さないように未然に防止する対策を考えています。
過去のことはもう思い出したくない、忘れたい、と思うかもしれませんが、過去から学べることは多くあります。離婚原因や事実、自分の特性などを客観的に分析し、次に活かそうとする姿勢が大切です。
1-2. なんで自分ばかりこんな目に…と思わない
パートナーと口喧嘩やトラブルになった際に、自身の被害者意識が強いとネガティブな感情にばかり捉われてしまいます。トラブルの原因が有耶無耶になったまま、解決が遅れるケースもあるでしょう。
自分の感情ばかり先行させず、なぜそうなってしまったのかを客観的にとらえることが大切です。
もしかしたら、自分が知らないだけで相手にもそうせざるを得なかった理由があるかもしれませんし、ひょっとしたら自分にも一因があるかもしれません。起こった出来事に対して、視野を広く持つようにしましょう。
1-3. 相手に完璧を求めすぎず、理想を押し付けない
「家事や育児を手伝ってほしい」「体調が悪いときは察して気遣ってほしい」「休みの日くらい子供と遊んでほしい」など、様々な不満や理想があるのはわかりますが、人によっては得意不得意がありますし、全てを完璧にこなせる人間はいません。
「〇〇さんの旦那さんはこうなのに・・・」「××さん夫婦はこんなことで悩んだりしなかったらしい!」などと他の人と、ましては元夫と比べてしまうのはもってのほかです。パートナーはパートナーですし、ひとりの人間としてありのままを受け入れましょう。
何かを改善してほしいときは、現状自分が感じている負担を具体的に引き合いに出したり、何かを頼むときの言い方を工夫するなどして、できる範囲で協力してもらえるようにしましょう。
1-4. 自分の気持ちや考えを相手に素直に伝えられる
お互いに心を通わせ再婚した夫婦とはいえ別々の人間です。思っていることや感じていることは、きちんと相手に言わなければ伝わりません。
「こんなこと言わなくても伝わっているだろう」は、夫婦関係のすれ違いのもとになります。また、夫に対して「これくらい察して」と思うのはNGです。なぜ不機嫌になっているのか、夫側が原因を自覚していない場合もあります。やはり、言わなければ伝わらないのです。
コミュニケーションのずれで生まれたすれ違いが小さいものだったとしても、塵も積もれば山となります。気が付いたら関係が冷え切ってしまっていた・・・ということが無いように、自分の気持ちや考えは普段から素直に伝えられるようにしましょう。同じ相手と再婚をする場合は、これが最も大切なポイントと言えるでしょう。
1-5. ストレスの発散先が複数ある
幸せな人生の第一歩として再婚生活に踏み切ったとしても、日々ストレスに感じることはやはり起こりえます。ストレスをため込み続けることは心身ともによくありません。コミュニケーションの範囲が家庭内でとどまっていると、ストレスの発散先が無いため家庭内環境にも悪影響を及ぼします。
再婚後も幸せに過ごせている人の多くは、ストレスをうまく解消しています。具体的には、
- 没頭できる趣味を持っている
- 趣味が共通しているコミュニティに属している
- 相談し合える友人と定期的に会っている
などが挙げられます。
ストレスの発散先を複数持ち、精神的な自立をすることが重要なのです。
2. 離婚後に再婚するときのポイント①再婚禁止期間を正しく理解する
女性は、「離婚が成立した日の翌日から100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない」と民法で定められています。この再婚ができない100日間を「再婚禁止期間」と言います。
なぜ、女性だけこのような期間が定められているのでしょうか?
それは、離婚から再婚までの期間が短く、離婚後に子どもが生まれた場合、子どもの生物学的な父親は元夫なのか、それとも再婚相手なのかが不明瞭になってしまうからです。つまり、再婚禁止期間は、子どもの父親を明確にするために設定されているのです。
もし、離婚後にこの期間が経たないうちに再婚し妊娠が発覚、出産をした場合は以下のようなリスクがあります。
- 再婚相手との子どもなのに、戸籍上は元夫の子どもになってしまった
- 戸籍上元夫の子どもになるのが嫌だったので出生届を出せず、子どもが無戸籍になってしまった
一度、元夫の子として出生届を出してしまうと、その後戸籍を変えるためには法廷を経なければなりません。
だからといって出生届を出さず子どもが無戸籍となってしまうと、子どもは義務教育はおろか、公的医療保険すら受けることができません。子どもが体調を崩し、病院へ行ったとしてもかかった医療費は全額負担しなければならないのです。また、将来的に年金を受け取ることもできません。
もちろん、状況によっては離婚後も再婚禁止期間を待たずに再婚ができるケースもあります。しかし、万が一のときに子どものためにも、再婚禁止期間のことを正しく理解し、守るようにしましょう。再婚禁止期間について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
(関連記事)再婚禁止期間って?その根拠や例外・期間中に再婚する方法を紹介
3. 離婚後に再婚するときのポイント②自身に関する必要な手続きを速やかに行う
婚姻届を提出する他にも、苗字や住所の変更に伴い、しなければならない手続きは多くあります。
一度、諸手続きを行ったことがあるとはいえ、抜け漏れがあってはいけません。煩雑で面倒に思うことはあるかもしれませんが、後々困ることが無いよう今一度確認しましょう。
3-1. 転出届・転入届、または転居届の提出
再婚時、多くの方が引っ越しをするかと思います。転出届と転入届、または転居届の提出を早めに行いましょう。
今住んでいる市区町村から別の市区町村へ引っ越す際に、旧住所を管轄している自治体には転出届を、新住所を管轄している自治体には転入届を提出する必要があります。
転出届は引っ越し日までの14日以内に、転入届は引っ越し日から14日以内に手続きをする必要があるので、忘れずに行いましょう。
なお、転居届は、引っ越し先が現在住んでいる市区町村と変わらない場合に提出するものです。こちらも、管轄の役所に提出しましょう。
3-2. 運転免許証、パスポートの氏名・住所変更申請
再婚後は、運転免許証の変更申請やパスポートの切替申請をし、登録されている氏名や住所を更新しましょう。
運転免許証は、警察署や運転免許更新センター、運転免許試験場で手続きをすることができます。
パスポートは、住民票が登録されている都道府県のパスポートセンターにて手続きが可能です。なお、パスポートに関しては、氏名変更をしても所持人のサインはそのままになります。サインも新姓に変更したい場合は、新規発行をするようにしましょう。
3-3. 口座や通帳、各種カードの名義・住所変更
口座やカードの名義と戸籍に記載の姓名が異なった場合、たとえ同一人物だったとしても本人とみなされない場合があります。本人確認ができないと、公共料金や各種サービスの口座振替設定ができなかったり、大きな金額をすぐに引き出せなかったりと、なにかと不便です。
有事にあたふたしないためにも、再婚後は速やかに口座や通帳、各種カードの名義・住所を変更しましょう。
3-4. 国民年金、国民保険の名義変更
再婚後の自身の被保険者種別によって、必要な手続きや書類の提出先が異なるので注意しましょう。
自身が再婚相手の扶養に入る場合(第3号被保険者)、「氏名・住所変更届」「被扶養者届(国民年金 第3号被保険者関係届)」を再婚相手の勤務先に提出します。
また、自身が再婚相手の扶養に入らず厚生年金に加入している会社員や公務員になる場合(第2号被保険者)は、「氏名・住所変更届」を自身の勤務先に提出するだけとなります。
3-5. 車検証の変更
自動車を持っている場合は、車検証の変更が必要になります。
車検証は、いわば車の戸籍。再婚後、自身の氏や住所に変更があってから15日以内にしなければならないため、忘れずに行うようにしましょう。
3-6. 各種サービスの名義・住所変更
各種サービスの登録状況は人によるため、一概には言えませんが、通販サイトや定期購読している雑誌、DM、ファンクラブの名義や住所情報などがあります。変更するのを忘れてしまうと、購入したはずの商品や重要なお知らせが手元に届かない場合があります。
また、細かいところですと、ポイントカードの氏名変更を怠り、せっかく貯めたポイントが失効になってしまったケースや、所有資格の氏名変更を怠り、取得証明書の発行に手間がかかったケースもあるようです。利用度や重要度が高いものは順次変更するようにしましょう。
4. 離婚後に再婚するときのポイント③子どもに関する公的な手続きを速やかに行う
すでに子どもがいる人が離婚後に再婚するとき、子どもの戸籍はどうなるのか、疑問に思う人も少なくないでしょう。
結論からいうと、母親の戸籍は再婚した男性の戸籍に自動的に入りますが、子どもの戸籍は抜けた母親の戸籍にそのまま残ります。自動的に再婚相手の戸籍に移動することはないのです。
そもそも、離婚後に女性が新しい戸籍をつくり子どもの親権者となったとしても、子どもの戸籍は元夫の戸籍に残ったままです。子どもを自分の戸籍に入れる場合は、家庭裁判所で子の氏の変更許可の手続きをした上で、子どもの入籍届を役所に提出する必要があります。
その後再婚する場合も、自分は再婚相手の戸籍に入りますが、子どもの戸籍はそのままなのです。再婚後、子どもを自分と同じ戸籍に入れるためには、「養子縁組をする」か「子どもの氏変更許可を得てから入籍届を提出する」必要があります。
ここでは、離婚後に子どもを連れて再婚するときに検討すべき2つの手続きについて、具体的にご紹介します。
4-1. 養子縁組
再婚相手と子どもとは、養子縁組をしなければ親子にはなりません。
養子縁組をして親子になれば、血のつながりはなくても家族としての意識も芽生えますし、再婚相手と子どもの間にも、扶養や相続といった法律関係が生じます。
養子縁組をする場合は、婚姻届のほかに、再婚相手とご自身の子どもの養子縁組届を提出しましょう。なお、再婚相手と子どもを養子縁組すると、子どもが再婚相手の戸籍に入ることができます。
婚姻届を出した後に養子縁組をすることもできますので、養子縁組をするかしないかは、再婚相手や子どもの気持ちを尊重して、慎重に決めることが大切です。
(参考記事)子連れ再婚で幸せな家庭を築くポイント!養子縁組はするべき?
4-2. 子どもの氏変更許可の申立て
養子縁組は考えていないが、子どもの名字を再婚相手のものにしたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申し立てを行い、許可を得てから入籍届を出す方法もあります。
前述の通り、養子縁組をすると再婚相手と子どもの間で扶養義務が生まれます。 元夫の子どもに対する扶養義務がなくなる、ということではありませんが、扶養義務の優先順位は再婚相手が一番となります。そのため、元夫から養育費を受け取っている場合に、調停で養育費減額や支払い免除が認められるケースもあるのです。
5. 離婚後すぐの場合はまわりの目に注意
再婚に踏み切るためには、当事者同士の気持ちが大事なのは言うまでもないでしょう。しかし、それに対する「周りの目」があることを忘れてはいけません。
周囲からの反応への対応も想定した上で決断した方が、トラブルを避けたり、ご自身がいきなりつらい思いをしたりせずに済むかもしれません。
再婚に限らず、周りに目を向けて行動することが、ご自身の対応力の向上、評価につながる場合もあります。
ここでは注意したいケースをいくつかご紹介しますが、幸せな再出発、ステップアップのための課題の一つとして、一人で抱えすぎずに新たなパートナーとも話し合いながら、取り組んでいただければと思います。
5-1. 家族に反対される
お互い再婚同士なら、それほど問題はないかもしれません。しかし、一方が初婚の場合は、相手の家族が難色を示すこともありえるでしょう。子どもがいる場合、理解してもらうのがさらに難しくなる可能性もあります。
ただ、家族が反対するのは、家族である再婚当事者の将来を案じてのことである場合が多いはずです。誤解による余計な心配、と感じることもあるでしょうし、ときには辛い言葉を投げかけられるかもしれませんが、その原因に、深い愛情があることも考えられます。
こういった場合は、家族からの思いをいったん受け止めてみて、ご自身の考えを説明してみてはいかがでしょうか。
その説明を聞いて、ご家族も考えを変えるかもしれません。また、再婚する理由をあらためてご自身で振り返ることができ、より自信を持った決断にできるかもしれません。
ご家族が受け入れてくれない場合はそのまま再婚に踏み切ることもできますが、後からでは受け入れてもらえない場合もあり得ますので、覚悟は必要です。
受け入れてもらう過程を経ずに再婚を押し切った場合、再婚後の生活がうまくいかなくても、家族に助けを求めにくくなったり、婚姻関係を無理に継続してしまったり、ということもあるかもしれません。
双方の家族との信頼関係を築く時間を想定した上で、再婚を考えておくと、いざ反対されたときに焦らなくて済むでしょう。
5-2. 離婚前からの関係だと誤解される
離婚後すぐに再婚する場合、離婚の前から関係があり、それが原因で別れたという印象を持たれる恐れもないとはいえません。そうなると、離婚相手にいわれのない同情が集まる可能性もあります。
そうでないと説明しても信じてもらえない場合もあるでしょうし、きりがないのが難しいところです。
気になるかどうかは人それぞれだとは思いますが、離婚相手、あるいは再婚相手との共通の知人が多い場合には、ご自身や相手のストレスを考慮して時期を考えるという方法もあります。
5-3. 年配の人には受け入れられづらいことも
年配の人のなかには「離婚」や「再婚」に理解がない人も少なからず存在します。結婚相手とは一生涯連れ添うといった固定概念が強く、離婚するのは辛抱が足りない人だと誤解されることも、残念ながらあります。
考え方自体を変えてもらうというのは難しいと思いますが、だからといって自分の判断を変える必要はありません。
事前に心の準備をした上で、お互いに不快な思いをすることがないように、距離の取り方やお話の内容に気を配っておくことが、トラブルの回避につながることもあります。
言わないですむ関係ならわざわざこちらから言わない、という方法もあるでしょう。
6. 環境を変えるのも1つの手段
再婚には時間をかけた方がスムーズな場合もありますが、相手の人を好きになるのに、時間の長さは関係ありません。どうしてもすぐに再婚したいという場合もあるはずです。
その場合は転居や転職で環境を変えて、再婚相手とだけでなく、周囲との関係も新たな気持ちでを作っていくというのも一案です。
ご家族とのご縁は続きますが、離れた場所で生活しながら、ひとまず会うときは楽しく過ごし、徐々に理解を求める道もあります。
(まとめ)再婚後の想定と準備が大事
相手を好きになり、結婚したいという気持ちは、最初でもそうでなくても大事です。ただ、再婚の場合には、最初の結婚の時とは違う課題もあります。
こんなはずじゃなかった、という思いをしないためにも、事前に想定と準備をした上で、幸せに新しい家庭を築いていくことを考えてみてください。
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