更新日: 2023.03.31

公開日:2023.03.31

養育費の計算方法が知りたい!額を左右する要素・損をしない方法

電卓をみて考える女性

離婚して子どもを引き取ることを考えている人にとって、養育費をどれくらいもらえるのかということは気になるポイントでしょう。

養育費を適切に受け取るためには、基礎知識を押さえておくことが大切です。

今回は、養育費の相場となる金額、自分がいくらもらえるのか目星をつける算定方法をしないためにできることについて解説していきます。    


~ この記事の監修 ~

渡邊弁護士

わたしのみらい法律事務所
弁護士 渡邊 未来子
弁護士登録後に保育士資格を取得。養育費保証制度の相談会やセミナー、子ども食堂支援等を通じて、ひとり親家庭の支援活動を行っている。

>>所属団体のサイトを見る


「養育費の計算方法」解説動画

1. 養育費の基本知識

そもそも養育費とはどのようなもので、子どもが何歳になるまで受け取ることができるのでしょうか。

ここでは、養育費の基本的な部分を見ていきましょう。

1-1. 養育費とは

養育費とは、子どもが成人するまでに必要となる費用のことで、親権を有していない親(多くは、子どもと別居している親)が親権を有している親(多くは子供と同居している親)に支払うのが一般的です。

養育費の額の算定に際して「たとえ離婚しても自分の子どもには自分と同じ水準の生活をさせるべきだ」という裁判例も出てきています。この義務を生活保持義務といいます。

そのため、養育費の支払義務は、相手方が生活するための必要最低限の金額を払えばいいという生活扶助義務にとどまるとは言えません。
親が贅沢な暮らしをしているのに、離婚後の子どもには食うや食わずの生活をさせるということは許されないのです。

子どもには親と同じ水準の生活を求める権利があるとの考えから、親の収入や環境に応じた金額にはなりますが、養育費をしっかり請求することが、お子様のためにも大事でしょう。

1-2. 子どもがいくつになるまでもらえるのか

養育費は子どもが20歳になるまで支払われるのが一般的です。

ただし、養育費は扶養の必要がある子供に認められる権利ですから、本来、18歳での就職や22歳での大学卒業などのケースでは20歳でいいのか、という問題が生じますので、あらかじめ、その場合に備えた合意をしておく場合もあります。

支払う側、受取る側双方にとって大事なことですので、例えば、大学進学を想定しているのであれば、「養育費の支払いは大学を卒業する年の3月まで」など、いつまで養育費を払うのかを事前に取り決めておく必要があります。

また、2020年現在の成人年齢は20歳ですが、民法改正に伴って2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられます。

この改正によって養育費の支払義務が18歳で終わることにはならないということは、既に裁判所の公式な方針として表明されていますが 、実際には18歳でいいのでは、と支払う側が思っている可能性もありますので、いつまで払うのかという期間を明確に定めておくことがより重要になるでしょう。

2. 養育費の支払額の実情

厚生労働省が公表している「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果」によると、受け取っている養育費の平均額は、母子世帯が月平均4万3,707円父子世帯が月平均3万2,550円となっています。

平成23年度に行われた前回の調査では母子世帯が月平均4万3,482円、父子世帯が月平均3万2,238円となっており、数字にはほとんど変化が見られません。

ただ、実際には、そもそも養育費の合意をしないで離婚する件数が離婚件数の半数を占めていますので、その養育費の相場が法的に正当なわけではありません。

ちなみに、養育費を「現在も受けている」あるいは「受けたことがある」と回答した世帯のうち、養育費の額が決まっている母子世帯の割合は全体の84.4%で、父子世帯は全体の80.0%となっています。

養育費の支払確保のためには、やはり合意をしておくことが大事です。

3. 自分がいくらもらえるのか知る算定方法

受け取ることができる養育費をあらかじめ想定しておくためには、自分や相手の年収、お子様の年齢人数等の要素を考慮に入れて計算しなくてはなりません。

ここからは、養育費の額を左右する要素と養育費の基本的な算定方法について詳しく紹介していきます(複雑な事例については例外もあります)。

3-1. 養育費の額を左右する要素

養育費の金額を左右する要素は、

  1. 子どもの人数・年齢
  2. 両親の年収
  3. 収入を得ている両親の職業が会社員自営業

が挙げられます。

まずは子どもの人数と年齢。
当然子どもの数が多いほど養育費の金額も大きくなりますが、子どもが2人ならば養育費は1人のときの2倍というように、単純に決まるわけではありません。

年齢については、義務教育の期間である14歳以内か、15歳以上かによって金額の大きさが変わることになります。

また、両親の年収も養育費の金額を決定する要因のひとつです。
両親の年収のバランスによって、どちらの親がどれだけ子どもの生活費を負担するのかが変わってきます。

さらに、親が会社に勤めているのか、自営業なのかによって、収入の 資料に現れる数字と、実際上の収入が変わってきます(この点は経費をどう考えるか、ということで税金上も問題になってきます)。これも考慮して公平を図る必要がありますから、会社勤めか自営業かによって、養育費の金額を変えて算定するのが通常です。

3-2. 養育費の算定方法

自身で一から養育費を計算するのは骨が折れます。そのため、養育費を決めるときによく使用されるのが養育費算定表です。

お子様の年齢、人数に応じた表を使って、双方の収入からたどっていけば必要な要素、具体的な計算式を使わなくても、両親の年収などを考慮し、目安となる金額を算定することができます。

養育費算定表は2種類あり、1つは東京・大阪の裁判官が最初に作成した表(注1)で、もう1つは日本弁護士連合会が作成した表(注2)です。

裁判所による算定表は、統計をベースにして生活に必要な経費を算出しているものの、実際には養育費の金額が低すぎるという指摘も多く、その向上を図って日本弁護士連合会が作成した表のほうが金額が高めに設定されています。

ただ、東京・大阪の裁判官が作成していた表についても、最高裁判所が2019年12月に見直しを行ったことから、養育費が増額となるケースも多く出ています。

実際には裁判所が作成、見直しをした表の方が、裁判所で多く用いられていますので、まだまだその表がいわゆる相場になることが多いのが現状です。

なお、算定表にはない例外のケース、例えば、お子様の数が4人以上、支払う側の収入が算定表よりも多い、という場合には、さらに多くの金額を受け取れる可能性があります。

算定表は使えませんが、算定表のベースとなった計算式に数字を入れたらどうなるか、専門家に相談するなどして確認した方がいいかもしれません。

例外的な事例にあてはまるかどうかをしっかりと見極め、適切な額の養育費を受け取れるよう、慎重に考える必要があるでしょう。

(参考サイト)養育費・婚姻費用算定表|裁判所
(参考サイト)養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言|日本弁護士連合会

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4. 離婚時に取り決めるべきこと

養育費に関する取り決めをする際は、毎月の支払額だけを決めるのではなく、具体的な毎月の支払期日や振込先を明確に定めておくことも大事です。

そうすれば、こちらが思っていた時期、思っていた口座に入金されないというトラブル、そのために相手に連絡することによる精神的苦痛などを避けることができるでしょう。

また、子どもが成長するまでには長い期間がかかり、想定していなかったようなことも生じてきます。

進学したときにかかる費用は別途協議する、あるいは、あらかじめ15歳、18歳の時には通常の養育費とは別にいくら支払う、ということも合意しておく等、子どもの成長段階に合わせた養育費の増減についても、あらかじめ決めておくとよいでしょう。

5. 損をしないために

算定方法がよくわからない、受け取る権利があると聞いて何も決めずに離婚してしまった…など、養育費で損をしたくないですよね。
そのためにも、事前に正しい知識を身につけておくことが大切です。

また、算定表はあくまでも通常のケースの目安で、それぞれの状況によっては養育費を正確に算定できないケースもあります。ですので、算定表に基づくことが多い調停委員に提案された養育費の金額や調停内容に疑問が残る場合は、そのままにせず、弁護士などの専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

専門家を活用することで、個別の事情に応じた適切な養育費の金額の計算や、取り決めておくべきことを教えてくれたりするでしょう。

6. 決まった養育費はあとから増減できるのか

養育費の算定表や、その基礎となる計算式で決定したあとでも、そのときに前提とした事情に変更が生じた場合には、養育費が増減することがあります。

決定した後に、支払う側が職を失ったり病気にかかったりした場合は養育費の減額もやむを得ません。

また、支払う側が再婚した場合、その相手や子どもへの扶養義務が発生することで、支払う側の扶養能力が変動しますし、受け取る側の再婚についても、養子縁組までしたという場合には 、親として子どもを扶養する義務者が増えますから、当初定めた養育費が減額されることもあります。

(まとめ)支払われなくなるリスクに備える

養育費は子どもの権利であり、離婚後も払い続ける義務がありますが、実際は、離婚後に相手の勝手な都合で養育費が支払われなくなるケースは半数近くに上ります。つまり、しっかり取り決めるだけでなく、支払いを滞納されるリスクを考えておく必要があるでしょう。

その場合は、相手の財産や給与口座を差し押さえるという方法もありますが、差し押さえる財産や銀行口座などがわからないと差し押さえはできません。給与口座は、自営業の場合などでは押さえられないケースもあります。
さらに、差し押さえには法的手続きが必要で手間と時間がかかるため、この手間のために差し押さえを諦める方も少なくありません。手続き期間中は養育費が払われない状態が続いてしまう可能性もあります。

そこで、2~3年前に登場した養育費保証してくれるサービスを利用すれば、養育費を立て替えて支払ってくれた上で、さらにそのお金を支払う側に請求してくれるので、ストレスもなく便利です。

支払いが続くか不安な場合は、上記のような養育費保証を利用してみると、毎月きちんと養育費が入ってくるのかという、家計の収支に関する心配がひとまずいらない生活を送ることができるかもしれません。

お子さまの養育費をしっかり確保して、離婚後の生活をぜひ不安のないものにしてください。

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