2020.07.07
後悔する離婚・しない離婚をどう見極める?よくある「離婚の理由」から考える

これから離婚を考えている女性や男性にとって、後悔して辛い思いをしたくないと考えるのは当然のことでしょう。
すでに離婚した方は、そもそもどうして離婚したのか。後悔には、どういう理由があるのか。実際によくある離婚理由や後悔している理由を知って自分と照らし合わせることで、あとで悔やまないための対策をとることができます。
この記事では、よくある離婚理由と後悔しないための方法、後悔してしまった場合の解決方法についてご紹介します。
~ この記事の監修 ~

スタートライン行政書士事務所
行政書士・夫婦問題カウンセラー 横倉 肇
離婚専門行政書士として、年間100件以上の離婚相談・養育費未払い防止の為の離婚公正証書作成を行っております。
1. そもそも離婚する理由にはどのようなものがある?

お互い、最初は一生添い遂げるつもりで夫婦になるもの。それなのになぜ、別れるという決断をすることになるのでしょうか。
まずは離婚に至る理由にどのようなものがあるかを見ていきましょう。
離婚につながる理由を理解すれば、離婚を避けたり後悔しないための方法が見つかるかもしれません。
1-1. 性格・価値観の不一致
最も多いとされる離婚原因のひとつが、「性格・価値観の不一致」です。
単に趣味志向が異なるだけという場合もあれば、生活習慣の違いが原因の場合もあります。お互いの立場や、役割の違いが仕事や子どもの教育に関する考え方の違いにつながることもあるでしょう。
性格・価値観の不一致が喧嘩の原因になり、離婚のきっかけを生むこともあります。
ただ、当事者たちにとって不一致と感じる原因がはっきりしないことも珍しいことではありません。
そのため、性格の不一致で離婚する場合は、お互いの努力次第で離婚をしなくて済む可能性もあります。
自分が正しい、相手が悪いなどという決めつけた考え方はやめましょう。
あとで後悔しないために、問題を先送りにせず、話し合うことが大切です。話し合いの中でお互いを認めて理解しあうことで、離婚回避を目指してほしいものです。
1-2. 浮気・不倫
浮気や不倫が離婚の原因になるのは、誰もが想像できることでしょう。
夫婦ですから、自分が知らない異性の影を感じるのですら嫌なもの。浮気をされた側はショックを受け、ヒステリーになることもあるでしょう。
しかし勢いで離婚をしてしまっては、あとから後悔する確率は上がります。
たとえ浮気があったとしても、相手もこれまでのこと反省し改めてくれるかもしれません。子なし離婚ならともかく、特に子どもがいる場合などは、後悔のないよう慎重に行動したいものです。
1-3. セックスレス
セックスレスもよく耳にする離婚の理由です。
お互いに健康で拒否する理由がないにも関わらず、一方が拒否し続けている場合に、もう片方が不満を募らせてしまうのは自然なことでしょう。
しかしセックスレスで悩む原因は、実はコミュニケーション不足によるお互いの誤解によるものが多いのです。
たとえば、育児疲れや更年期障害などによる長期の体調不良で悩んでいるケースなどです。その理由をに話すこともなく、ただ誘いを断り続けたのであれば不満の理由になりえてしまいます。
その他にも理由は色々あるでしょうが、「あのとき、もっと話ができていたら」と後悔しないようにしたいものです。
1-4. 相手の家族・親族との関係性
将来を誓って結婚した配偶者であっても、育ってきた環境は違う者同士です。自分たちの相性は良くても、配偶者の親族とは考え方が合わないこともあるでしょう。
新婚で相手の親との同居がストレスにつながったり、嫁姑問題などで苦労する人もいるかもしれません。
後悔しないような家族関係を作るには、事前に夫婦間で相手の家族との付き合い方を確認しておくことが大切です。
1-5. 不妊
不妊をきっかけに不仲になり、離婚を考えている夫婦は意外と多いものです。
日本では約50万人が不妊治療をしているとされ(注1)、深い悩みをもっている夫や妻は数多くいます。
子どもがいることも良いことですが、後悔しないためには、夫婦の愛情とは何かに一度立ち返ってみたいものです。
(注1:参照)不特不妊治療費助成事業の効果的・効率的な運用に関する検証|厚生労働省
1-6. モラハラやDV
DV(ドメスティックバイオレンス)だけでなく、近年ではモラルハラスメントが原因で離婚する人も増えています。
DVやモラルハラスメントが長期間に及ぶと、被害者だと気づかず、「自分が悪いから暴力・暴言を受けるのだ」と錯覚してしまう方もいます。恒常的な不安から無気力状態やうつ病に陥ることも少なくありません。
まずは、第三者から客観的な指摘を受けることで「自分は悪くない」という意識を持つことが大切です。
DVやモラハラを理由に離婚した場合は、相手に非があるので離婚そのものを後悔することは少ないでしょう。暴力は命の危険にもつながりかねないので、早く別れることを考えるのは悪いことではありません。
ただしお金など生活面で後悔しないよう、離婚後の生活についてはきちんと考えておく必要があるでしょう。
1-7. 借金やギャンブル
金銭感覚の違いが離婚の原因となることも珍しくありません。
しかし借金やギャンブルで離婚した人の場合、離婚後の生活が経済的に苦しく、離婚を後悔することがあります。
なぜなら相手に慰謝料などの支払い能力がないことがほとんどであり、場合によっては相手の借金を返済しなくてはならないケースもあります。
これを避けるためには、相手の抱えた借金をどのように処理していくかを離婚前にしっかり話し合い、書面で取り決めておくことです。
2. 離婚に後悔する理由

苦しみから解放されるため、幸せになるために離婚を選択したにも関わらず、離婚したことを後悔する人は少なくありません。
いざ踏み切ったあとに「やっぱりやめておけば良かった」と後悔しないよう、実際に離婚した人が後悔しやすい理由もチェックしておきましょう。
2-1. 経済的な負担が大きい
長い期間、専業主婦だった場合は、新しい仕事を見つけようとしても、なかなか満足できる待遇の仕事が見つけられないことがあります。
共働きの夫婦でも相手の収入の方が多ければ、家計に使えるお金は明らかに減ります。離婚したあとにお金に苦労しがちなのは、専業主婦(夫)側です。
子どもを引き取ることになればさらに負担は増え、子持ちでの生活は楽ではありません。
離婚調停で決めた養育費を相手が払ってくれなかったり、元夫がリストラに合ってしまい支払いが滞る、なんてこともあります。
離婚後、元妻の生活の面倒を見たり、養育費を払うべき、と考えている男性は、実はそう多くはいないのかもしれません。
将来的な自分の生活をどのように維持していくか、お金の問題で後悔しないように、しっかり計画しておくことが大切です。
2-2. 仕事と家事の両立が大変
離婚後に負担が増えるのは、お金の面だけではありません。
掃除に洗濯、食事の準備のほか、子どもがいれば育児も全部1人です。誰でも自分の手一つというのは大変です。
親戚や福祉サービスなど、周りからのサポートもうまく利用していくことを考えましょう。
2-3. 勢いで離婚を決めてしまった
勢いで離婚を決めてしまうのは、あとで後悔しやすい典型的なパターンです。
夫の浮気があった場合は、感情的になることもあるでしょう。しかし別れたあとでの復縁は難しく、孤独な生活に寂しさを感じることもあるようです。
少なくともお金のことや生活のことで後悔しないよう、感情のままに離婚していまうのは避けたいものです。
2-4. 子どもに寂しい思いをさせている
子どもがいる夫婦が離婚した場合は、子どもに対するケアも欠かせません。
それまで住んでいた家や学校を変えたり、一緒に生活していた親と突然離れ離れになるわけですから、子どもは多かれ少なかれ傷ついているもの。
「パパに会いたい」と言う子どもの言葉に、離婚を後悔してしまう人もいます。
2-5. 健康面や老後の不安を感じている
歳を重ねるにつれて、健康面で不安が出てくるのは当然のこと。
定年退職し、現役時代のような仕事ができず、年を重ねて通院や介護が必要になったときのことを想像すると、1人での生活は心細く感じるかもしれません。
歳を重ねるにつれ若いときには感じなかった不安を感じ、離婚を後悔する方もいます。
2-6. 別れてから夫の良いところに気づいた
離婚をするまでは、束縛が強かったり話を聴いてくれないなど、どうしても相手の嫌な特徴ばかりが目につくもの。
ところがいざ離婚してみたら、「よく考えれば優しい夫だった」と思い直して後悔する人もいます。
相手が再婚しておらず、関係があるのであれば、復縁することが可能な場合もあるでしょう。しかし本当は必要な人だったと後から悔やんでも、残念ながら手遅れであることがほとんどです。
3. 離婚に後悔しないかどうかの見極め方

苦労して離婚を成立させたとしても、さまざまな形で後悔することは十分ありえます。
しかし、できることなら後悔しないようにしたいと思うのは当然のこと。
後悔しないためのポイントは、大きく分けて2つあります。
3-1. 離婚以外に今できることはないかを考える
後悔とは、後から「あのときこうしていれば良かった」と思うこと。
つまり自分が「こうしていれば」と思うだろうと予測できることは、離婚前にやってしまえばいいのです。
たとえば「自分の気持ちをまだ相手に十分に伝えられていない」と思うのなら、満足できるまで話し合いをすることが大切です。
性別が違うと立場や考え方が違うことも多く、向かい合って話すのには苦労するかもしれません。
もし二人での話し合いがうまくいかないなら、専門家などの第三者を入れてお互いの思いを理解したり、解決方法を探ってみるのも一つです。
多少辛い話し合いになったとしても、後悔するよりはよっぽど良いのではないでしょうか。
3-2. 離婚後の生活を具体的にイメージする
別居して生活してみるなど、具体的なイメージを作りましょう。
特に子どもを引き取る場合は、1人で育てていく上で何が必要なのかを知ることは大切です。
利用できる行政の制度やサービスについても確認しておきましょう。
1人の生活に寂しさを感じなくて済むよう、事前に周りの人に相談したり、話せる相手を作っておくのも良いでしょう。
また、離婚になった場合の養育費・財産分与・慰謝料・年金分割といった離婚時に得られるもの、得られないものを確認することが大切です。
とにかく具体的な想像を働かせることが、後悔のない離婚につながります。
4. いざ後悔してしまった時、どうすれば良いのか

離婚して後悔したくなかったけれど、今更どうしようもないこともあるでしょう。
そのような方に参考にしていただきたいヒントをまとめてみました。
4-1. 切り替えて新しい人生を楽しむ
離婚後は元夫もあなたも、全く別の人生を歩み始めています。
そのことを理解し、あなた自身が夢を持ったり、新しい人生を楽しむことに集中してみましょう。
歌や音楽、ダンスなどの新しい趣味をはじめたり、彼氏を作ることにチャレンジしたって良いでしょう。
最近では、離婚後に再婚される方も多く、シングルマザー向けのマッチングサイトなどもあります。
今の時間が楽しめるようになった頃には、離婚の後悔もなくなっているかもしれません。
4-2. 復縁を模索する
前の夫との復縁を模索してみるのも手です。
お互い再婚しておらず、離婚後も子どもの面会がちゃんとできていたり、まだあなたに未練を抱いているようなら、考えてみてもよいでしょう。
しかし「再婚は記憶力の欠如」という言葉もあります。復縁して後悔しないよう、離婚した原因については改めて考えておきましょう。さらに復縁後もどのようにしたら良い関係が継続できるのか、その方法もはっきり具体的にしておくことが大切です。
自分の考えがしっかりまとまったなら、あとは相手と話し合うのみです。
もし相手も後悔を感じているようなら、復縁できる可能性はゼロではないはずです。
5. お金の面で苦労しないための対処法

離婚後の後悔として最も多いのは、お金の問題です。
特に専業主婦の場合、離婚後、経済的に苦労するケースは多いものです。
また、元夫側も金銭面のフォローが大変で、後悔することもありえます。
お金で苦労しないために、離婚前に相手からもらえるお金、払うお金には、どのようなものがあるか知っておきましょう。
5-1. 財産分与
婚姻期間中に築いた夫婦の財産は、夫婦2人の共有財産です。
離婚するときにはその共有財産を夫婦で分け合うことになり、その割合は原則として2分の1となっています。
しかしこの2分の1という割合は法で定められているわけではなく、夫婦の話し合いによって自由に割合を変えることができます。
なお、財産分与によって分け合う資産にはプラスの財産ばかりではなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれることも注意しましょう。
5-2. 養育費
養育費の支払いは、親権を持たず子どもを監護しない親の義務です。
養育費の金額を決める際はまず、夫婦それぞれの年収から相場が計算され、この相場をもとに夫婦で話し合うことによって決められます。
養育費に関して気をつけておきたいのは、未払いのリスクです。
養育費の未払いは、ひとり親家庭の貧困に直結する大きな問題となっています。
まずは公正証書など、書面で法的に支払いを取り決めましょう。「養育費保証」などを利用して備えることも有効です。
養育費保証は養育費の支払いが滞った際に養育費を立て替えて、代わりに相手に督促をしてくれるもので、民間会社によって提供されているサービスです。
保証料などの費用はかかりますが、保証料を補助してくれる自治体もあります。リスク管理のひとつとして検討してみるのも良いでしょう。
5-3. 慰謝料
不倫や浮気など主な離婚の原因がどちらか一方にある場合は、原因を作った側に対し、慰謝料を支払う義務が生じます。
不倫・浮気の原因を作ったのが夫であっても妻であっても、慰謝料の金額は変わりません。
慰謝料の金額には、離婚原因の程度や頻度、婚姻期間の長さが考慮され、夫婦の話し合いによって決められます。
5-4. 弁護士への相談
離婚に際して慰謝料や養育費などのお金の問題が絡んでくる場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
なぜなら慰謝料や養育費の相場や決め方は一般人にはわかりにくい上に、知らなければ損をすることもあるからです。
離婚調停や裁判になる場合はもちろん、協議離婚の場合であっても、早めに弁護士に相談することはひとつの有効な手段と言えます。
(まとめ)見極めてしっかり対策を

離婚にまつわる後悔にはさまざまなものがあり、全てを避けることは難しいのが現実です。しかし、後悔をできるだけ少なくすることは可能です。
多少の後悔をしてでも、もっと大切なものを手に入れるために離婚が必要なこともあるでしょう。
ただし、勢いに任せて離婚をしてしまうと、後悔する可能性は高くなります。
離婚する前に冷静に状況を判断し、思いつく限りの対策をしておくことで、後悔の少ない理想の未来を手に入れましょう。
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